PDT, PIT, PDD ラボ実験向け レーザー照射システム
BrixXLABは、PDT(Photodynamic Therapy: 光線力学療法)、PIT(Photoimmunotherapy: 光免疫療法)、PDD(Photodynamic Diagnosis:光力学的診断)などの実験・研究用途のために開発されたタッチスクリーンコントロールのデスクトップレーザーです。375nm~ 1550nmの範囲から最大4波長のレーザーモジュールを1台の筐体に搭載できるマルチチャンネル光源です。
タッチスクリーン制御のデスクトップシステムなので、追加PCは不要です。システムは、チャンネルごとにファイバを検出し、ファイバが接続されていない場合はレーザ発振されないため、高い安全性を確保できます。
各チャンネルごとに出力を外部信号でアナログ/デジタル変調できます。外部出力測定システム用の入力は画面に表示されます。また個々の波長またはグループ単位でタイマー機能が利用できます。各機能はタッチスクリーンでまたは付属のレーザーコントロールソフトウェア Omicron Control Center (OCC) で制御します。
PDT: Photodynamic Therapy (光線力学療法)
PDT (光線力学療法) とは
PDTは、光感受性物質という薬剤とレーザーを使ったがん治療の一種で、この光感受性物質は、がん組織に結びつきやすい、特定波長のレーザー光で化学変化を起こすといった性質があります。患者さんに薬剤を投与したあと、がん組織にレーザー光を照射すると、光感受性物質が化学反応により活性酸素を発生させ、がん組織を破壊することができます。
PDT (光線力学療法) のメリットとデメリット
現在行われているがん治療法は主に①手術療法、②化学療法 (抗がん剤)、③放射線療法の3つがありますが、PDTによる治療の最大のメリットは、がん組織のみを選択・集中的に狙えるという点です。例えば、抗がん剤治療では、がん組織だけでなく正常な組織も一緒に破壊してしまうことが知られていますが、PDTで投与する薬剤は、がん組織に結びつきやすく、またこの薬剤は特定波長を持ったレーザー光に反応する性質がありますので、正常な細胞を傷つけるリスクが低く、がん組織のみを狙い撃ちすることができます。
デメリットとしては、光線過敏症が挙げられます。PDTで投与する光感受性物質は、光に反応する物質ですが、その欠点として、投与後に日光などに当たると、皮膚が赤くなったり、水ぶくれができたりする副作用が生じます。そのため、PDTによる治療後は、しばらくの間遮光を行い、日光に当たらないようにする必要があります。
PIT : Photoimmunotherapy (光免疫療法)
PIT (光免疫療法) とは
PIT (NIR-PITとも言われます)は、新しいがん治療法として注目を集めています。患者さんに薬剤を投与して、レーザー光を照射するというプロセスはPDTと同じですが、使用する薬剤の性質や治療のメカニズムは両者で全く異なります。現在行われているPITでは、IR700という化合物に、抗体を結合させた薬剤を使用しています。この薬剤はPDTで使われる光感受性物質よりがん組織へ結びつくが強く、がんに対してより選択・集中的な治療を行うことができます。PDTでは化学反応で生じた活性酸素によってがんを攻撃するに対して、PITではレーザー照射による薬剤の化学変化の作用で、がん細胞の膜を破り、細胞外部から水が侵入することでがん細胞を破裂させます。また、PITでは直接がん細胞を破壊するだけでなく、患者さん自身の免疫システムを活性化する作用もあり、これによりPITで破壊しきれなかったがんや、転移したがんにも有効であると考えられています。ここにこの治療が光“免疫”療法と言われる理由があります。4つ目のがん治療法として、免疫治療がありますが、これは免疫細胞を活性化してがんを攻撃する治療法で、直接的にがんを治療するわけでありません。PIT(光免疫療法)では、直接かつ選択・集中的にがんを治療できるだけでなく、免疫細胞の活性化も促すため、5つ目のがん治療法として期待がされています。
PIT (光免疫療法) のメリットとデメリット
PITもPDTと同じくがん組織のみを集中的に狙えるというメリットがありますが、PITで使用する薬剤はPDTよりも更にがん組織への結びつきが強く、がん組織をより集中的に攻撃することができます。また、患者さんの免疫システムを活性化させ、転移がんにも有効という点が大きなメリットです。デメリットとしては、PDTと同じく光線過敏症があります。また、がん組織を破裂させることで痛みや出血を伴う場合があります。
PDT、PIT実験に対するBrixXLABの有用性
PDT、PIT共に臨床で使用される薬剤は、それぞれ波長664nm、690nmのレーザーで反応しますが、基礎研究レベルでは、様々な薬剤が検討され、薬剤によって使用される波長も異なります。弊社で提供しているBrixXLABは多様な薬剤に対応すべく375nm~1550nmまで非常に広範囲の波長をカバーしております。BrixXLABはマルチチャンネルの照射装置で、最大4チャンネルのレーザーを装置1台に搭載でき、各チャンネルの波長は同一でも別々でも選択可能です。各チャンネルはタッチパネルから独立して制御可能で、PDT、PIT実験に便利な自動照射停止タイマー付きです。
また、レーザーを照射するための光ファイバーも様々なタイプをご用意しております。例えば、ウェルプレートを使用したIn-Vitro実験の場合、広いエリアに均一な光を照射するためのディフューザーを利用いただけます。
PDT, PIT, PDD ラボ実験向け レーザー照射システム モデル仕様
モデル | BrixXLAB-2(1 or 2波長)、BrixXLAB-4(1, 2, 3 or 4 波長)※カスタマイズ可能 |
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選択可能波長(出力) | 375nm (0.2W, 0.4W), 405nm (1.2W), 445nm (1.5W, 2.5W, 5W), 525nm (1.5W), 532nm (1.25W), 630nm (2W), 635nm (2W), 652nm (0.5W), 665nm (2W), 675nm (2.5W, 5W), 690nm (1.2W, 2.5W, 5W), 730nm (1W, 1.75W, 2W, 4W), 750nm (1W, 2W, 3W, 5W), 808nm (1W, 2.5W), 1064nm (1.5W), 1550nm (2W) ※他の波長・出力をご希望の場合はお問合せください。 |
タッチスクリーンインターフェイス | 対応 |
言語選択 | 可能 |
ファイバタイプ | マルチモードファイバ |
タイマー機能 | 個別またはグループ |
変調 | アナログまたはデジタル |
制御用インターフェイス | USB |
レーザー制御ソフトウェア | Windows対応ソフトウェア, Omicron Control Center (OCC) |
電源 | 100-240 VAC, 50-60 Hz, 最大 250 VA |